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Feb
2024
Audi Q8 e-tron 試乗・充電編
2024.2.29
Audi Q8 55 e-tron quattro S line を試乗した模様をレポートしよう。 今回も一般道と高速道共に試乗することができた。
●運転席の感覚
インテリアのご紹介でもお伝えしたが、運転席に座ると助手席まで伸びる水平基調のAudi デザインが導入されており、質感も高く広々としている。また、車高も高い位置であるがゆえ、前方の見通しは良い設計だ。
シフトノブの形状がユニークで、シルバー色のノブを上下に動かすことでDレンジやRレンジに切り替わる。パーキングは同じシルバー色のノブの横を押し込む操作となる。
従来モデルとは違った新しい操作となるので、試乗車または展示車でぜひ触って体感してほしい。
●走りを体感
まずは一般道を走行してみる。
車輛重量が2,600kg(カタログ値)があるなかでスタート&ストップが多い環境下においても、加速は力強いことを体感した。通常はリヤ搭載のモーターがメインで駆動することもあり、リヤからグッと押されるFRモデルを感じる加速の気持ち良さがあった。
さらに加速はガソリンモデルとは違う感覚であった。
ガソリンモデルの加速の場合アクセルペダルを踏みこみエンジン回転数が上がった後に加速していくのが一般的。ところがAudi Q8 e-tronではアクセルペダルを踏んですぐに加速をしていくため、レスポンスがとても良く気持ちの良い加速を感じることができた。
ブレーキにおいては、回生ブレーキをうまく活用することでブレーキペダルを踏むことなくある程度のスピードまで減速することができる。もちろん回生ブレーキなのでバッテリーへの充電もできる。写真のように一般道などでは後輪に回生ブレーキがかかり、減速とともにバッテリーに電力が入る仕組みだ。
なお、ダイナミックな運転状況においては、前輪にも回生ブレーキがかかり減速されるようになる。
回生ブレーキは、写真のようなシフトパドルを操作することで発生させることができる。(オプションのインテリアパッケージを選択した場合)
ステアリングホイールの左側にあるパドルシフト「―」を手前に引くことで回生ブレーキが発動される。
回生ブレーキはパドルシフトの「―」を1回・もう1回と操作することで、ブレーキの発生具合を2段階に調整できる。弱と強といった感覚だ。(写真の赤矢印マークをご覧ください)
なお、パドルシフトを操作することでメーター内のバッテリー出力メーター(ガソリンモデルでいうタコメーター)のCHARGEの表示箇所に回生ブレーキのレベルが表示される。
その場の状況に応じて回生ブレーキを発動させることで、ブレーキペダルを踏むことなく減速することができるので、ぜひ試乗の際に試してほしい。
つづいて、高速道路の試乗を行った。
一般道でも感じた加速の良さは、高速道の法定速度まで加速際に思う存分体感することができた。
通常より強力な加速ができるブーストモードを発動させると、最大出力300kW発生させることができる。モーター出力メーターの100%値以上が解放され、瞬発力のある加速が楽しめる。
高速の本線合流においてシフトをSレンジにし、ブーストモードにした状態で加速したが、かなりの力強い加速で身体が後ろにもっていかれるほどであった。Audi Sportモデルでしか味わえないような加速力が、Audi Q8 e-tronで味わうことができた。
試乗の際は、交通状況に気を付けながらぜひ体感してほしい。
高速域においても回生ブレーキは使用勝手が良く、ちょっとした減速が必要な時にパドルシフトを操作するだけですぐに減速することができる。また渋滞の末尾が見えた際に減速すると思うが、その際もガソリンモデルのエンジンブレーキのように回生ブレーキを使用することでスムーズに減速ができた。
ガソリンモデルとの違いがよくわかったのが中間加速だ。
速度を上げる際にアクセルペダルを踏み込むが、その踏み込む量がガソリンモデルより少ない幅でスピードを上がるほど力強い感覚だ。
また、加速する際はエンジンの回転数が上がってスピードが上がるのがガソリンモデルの特徴であるが、Audi Q8 e-tronでは電気自動車特有のアクセルペダルを踏み込むと同時に最大トルク664Nmが発生することもあり、タイムラグなく一気に加速することができた。
この感覚はぜひ、試乗の際に試してほしい。
●充電方法
Audi Q8 e-tronで充電をする方法は2パターンあり、普通充電と急速充電がある。
普通充電は最大8kWの充電ユニットを使用するもので、主に自宅等で充電することを想定している。
一方、急速充電は150kWまでの急速充電器に対応しているもので、高電圧で充電できるため普通充電と比較しても早く充電が完了する。主に外出先などで急速充電装備がある箇所で充電することを想定している。
Audi Q8 e-tronは車両の2つの充電ソケットが備わっており、前輪右側が普通充電用。前輪左側が急速充電用(CHAdeMO式)の充電ソケットがある。
充電マークのボタンを押すことで充電ソケットが出てくる電動スライド式。ソケットの横にあるLEDライトで充電状況も見ることができる。
Audi Q8 e-tronはAudi が加盟している急速充電サービス「プレミアム チャージング アライアンス」(以下、PCA)を用いることで簡単に急速充電を行えるため、今回はPCAを使用して充電を行ってみた。
PCA充電器は全国にあり、専用アプリを用いることで場所の検索から実際に充電を行う操作まで一括で行える便利なサービスだ。
今回充電した場所は、Audi Approved Automobiles 浦和で、Audi認定中古車を販売するAudi正規ディーラー。
こちらにPCAの充電器が配備されているので、早朝立ち寄ってみた。PCAは24時間充電可能で、店舗が閉まっていても充電スペースまで入ることができる。
PCAを操作するのはかなり簡単だが、事前にPCAの専用アプリをスマートフォンへインストールすることと、充電プラン契約を行う必要がある。
充電プランは月額会員プラン・都度会員プランの2種類があり、充電料金が抑えられるのは月額会員だが、今回は1度だけのスポット充電なので、都度会員で充電を行った。
また、アプリ上の地図で充電箇所を検索もでき、かつナビゲーションも行えるのでワントップで充電まで行える優れたアプリだ。
充電器の横にAudi Q8 e-tronを停め、急速充電を行ってみる。
充電器にはディスプレイがあり充電の仕方をアシストしてくれるので、初めてでもディスプレイを見ながら操作すれば容易に充電が開始できる。
実際に充電するには、ケーブルを車両に差し込んだ後、PCAアプリでQRコードを読み取りスマートフォンのディスプレイの指示に沿って進むと充電が開始された。
なお、充電中は車両の中で待機していても問題がなく、MMIナビゲーション上でも充電の進捗がわかる。
百聞は一見に如かず。充電方法やPCAのプランなど詳しい内容はショールームスタッフにぜひ確認してほしい。
●セーフティ機能
Audiは全モデルにおいてアシスト機能や安全装備が充実しており、Audi Q8 e-tronにも多くの機能が装備されている。
特にアダプティブクルーズアシストとアウディサイドアシストは、運転していて一番使用する機能かもしれない。同一車線の中央を走行できる「アダプティブレーンアシスト」や、後方側面から近づく車両を検知しエクステリアミラーにLED点灯で接近を知らせてくれるアウディサイドアシストは、試乗中にとても重宝した機能だ。
もう一点良かった機能として、サラウンドビューカメラだ。
車両に配置された4台の広角カメラによって自車全周囲360度の映像を見ることができ、合成された車体を3Dビューで同じく360度表示することができる機能。
車から降りなくても周囲の状況を把握することができるので、初めて駐車する場所などでは特に便利な機能だ。
もちろんバックカメラをはじめ4台の広角カメラで前方・後方・側方と確認もできるため、駐車以外でも幅寄せなどのシーンでも安心できる機能だろう。
他にもここでは紹介しきれないほど機能があるため、ぜひ実車で確認してほしい。
Audi Q8 e-tronは、最新のAudiデザイン言語によって最先端の技術を搭載したことを物語るトップモデルだと試乗をして感じた。そして、単なる高級感のある電気自動車ではなく、スポーティーな走行感覚も秘めている点が運転しても楽しいモデルであることがわかった。
ひと昔前は電気自動車というと未来の車の位置付けであったが、今日ではガソリモデルと同じように街中を走っているのだから、Audi Q8 e-tronは新しいラグジュアリー電気自動車のパイオニアとして世界を走り始めているのだろう。
試乗の際は各機能のほかに、走行性、電気自動車ならではの軽快な走りをぜひ体感してほしい。
●車両スペック
Audi Q8 55 e-tron quattro S line
ボディカラー:プラズマブルーメタリック(オプション)
・インテリアパッケージ
・サイレンスパッケージ
・ダークAudi ring & ブラックスタイリングパッケージ
・アルミホイール10スポークローターデザインアンスラサイトブラックポリッシュト
装備はグレードによって異なります。また、モデルイヤーによって装備が異なる場合があります。各装備や安全機能の詳細はAudi JapanのWebページをご確認ください 。(https://www.audi.co.jp/)
Photos & Text by HY/Audi Japan/Audi AG.